★2004.11.25 バーフライたちの愛すべき風景
僕は気に入った映画や本を何度も繰り返し観たり読んだりするのだけれど、バーに携わってから何度も観ていて先日もDVDを購入した”バーフラ
イ”は、酒呑みにはもってこいの低俗でありながらも文学的な映画だ。作家役のミッキーロークと酒浸りオンナのフェイダナウェイのなんとも退廃的な
人生と愛を描いている。原作脚本はなるほどさすがのチャールズブコウスキー(本人も劇中バーの片隅にいる)、”バーフライ”とは文字どおり酒場に
いり浸りのヒト?のことである。僕はバーテンダーではあるが同時にバーフライでもあるとこの映画を観てるといつも感じる、結局のところ僕は酒場の
あのどうしようもない雰囲気が好きなのだ。
酒場にはドラマがある。
たのしいことがあったヒト、仕事で行き詰まって苦しむヒト、アナログかデジタルかなんて議論するヒトたち、愛を育むバカップル、女の子を口説い
てたらそこにカノジョが現れて深刻な状況のヒト、急に泣き出す大柄のヒト、考え事をするヒト、などなどテレビのくだらないドラマには負けないくら
い酒場には風景がある。気持ちいい時もあれば逆にへコまされてしまう時もあるけど、喜怒哀楽起承転結序破急愛燦々、何かわからんけど好きなんだな
あ。
劇中ミッキーローク演じる喧嘩ばかりの呑んだくれに粋さはあまりない、でもそこには何かしらの愛がある。前回、アウトロー的なライン引きでいく
つかのルールみたいなものをこのページに書いたところ、なんで葉巻があかんのとかバーでオンナに声かけて何が悪いなんて反論もいただきましたが、
だから決めなきゃいけなかったんだよ!と言ってやった、本来なら個人の判断に委ねたいのだが愛がないならしょうがない。いい酒場には、いいヒトた
ちが集まって、いいドラマが生まれる、僕はそんな酒場が好きだしそうあって欲しいと愛をもって願っている。