★2013.6.9 bad
boy blues ......again
僕もいい加減 年をとってきた。
目は見えなくなってきたしあちこちイタいし貫禄がでて余裕ができてしまったカンジだ。
若い頃僕はいろんな歪みに気づきそのいろんなモンを否定し壊そうとしてパンクに生きていた。
でも、気がつけば、僕が何もしないでも僕が否定していた、もしくは懐疑的だった多くは自壊して酷いコトになっていった。インターネットの普及やグローバリ
ゼーションの波などで時代が速く動いているせいだろう。
例えば旧態依然の共同体だ。今だに固執する旧いオジサンたちはいるが実質日本の昔ながらの共同体はもはや機能していないも同然だ。ココ数年この国はいろん
なモンが失われてしまった。そして僕は何と戦えばいいのかわからなくなった。
自明だったのになぜか僕は絶望をカンジた。
年を取ったせいか、このままではいけないと思いはじめた。
勿論、"古き良き"ノスタルジーではない。壊れたモンは壊れるべくして壊れたのだから仕方ない、それを復元するより新たに構築する方が良い。しかし構築と
いうのは時間がかかりその間脱落するヒトや コトもでてきてしまう。そうすると補完する何かが必要となる。
僕は現代の「孤立死」を非常に問題視している。
共同体の崩壊により隣に誰が住んでいるかも知らない社会になった。少子高齢化、核家族化が進み人口が減ると
なかなか新たな共同体も構成しにくい、なので都会の真ん中に於いての孤立死も必然なのか......術はないのか........
僕はリベラルではなく、ほぼリベ(ほぼコミュではないかとも最近言われるが)なので、政府や行政や権力的モンはできるだけ大きくなるのを嫌う、すなわち税
をなるべく少なく、を希望する、なぜならこれ以上人口の少ない若い世代に負担はかけられないからだ、高齢化し人口の減るこの国でバンバン医療
費使 いもって(他
国と比べても税負担が少ないとはいえ)増税ばかりしてたらハッピーに生きられない。そうするとどうしてもオカミに頼るコトができなくなるし、この
民度じゃ少子化もすぐには 解決できないし、移民の受け入れもまだ態勢ができていない、個々で自立するしかない。
最善の方法は、ベーシックインカムだと僕は思っているコトはこのコラムで何度も書いた。プラグマティックではないかも知れないが早急に議論だけでもした方
が いい。 間違いなく少子化対策だし核家族化も減る。何よりホームレスがいなくなり餓死者がいなくなる、もちろん孤立死も。
今の社会は帰属する場所が少なくなる傾向にある。
家庭と職場(学校)がメインで、趣味的サークルがあればいい方か......独りなら家庭の帰属はないし趣味がなければ家庭と職場しか帰属コミュニティが
なくなって
しまう。妻を持たず職を持たない男性は友達も少なく孤立死しやすい。男性は定年退職すると新しいコミュニティになかなか飛び込めない、会社の同僚
以外の友人はなかなかできない、女性はコミュニティを形成しやすいのでどの年代も比較的帰属は多いだろう。
SNSもココロ救われるヒトもいてコミュニティのひとつになりうるがそれだけでは病気や孤立死は防げなさそうなのでリアルなコミュニティが必要だ。
若いウチから帰属コミュニティは増やしておかねば年取ってからでは遅い。
僕は飲食店こそ最良の帰属コミュニティになりうると考えている。
飲食店は、1店舗1店舗が別のコミュニティで、店の数だけ帰属コミュニティが増える。日常どっかでするであろう呑み食いを週数回するだけで入れる。そして
最大
の利点はイヤならすぐ抜けられる、行かなきゃいい、そんな自由度の高さは重要だ。逃げ場となるコミュニティへの流動的な移動はストレスの軽減にも繋がり精
神的な病いの防止にもなる。気分を、なんだったら生き方を変えても良い。ココでもキーワードは依存からの脱却、自主性、能動性、流動性だ。
ただ、気になるのは昨今、「行きつけ」を持たず、飲食店すら消費してしまう風潮にあるコトだ。
みんな安くてウマくて心地よいお店で飲食したい、だから口コミサイトや格付け本から選ぶ。
でもね、考えて欲しいんだ、そりゃ星のついたお店は技術も優れているし確かに流行っていればコストも価格も下がる、それは企業努力だから素晴らしい、で
も、ホントにウマいモンて初対面の1度きりじゃ出せないよ、そのヒトトナリを知ったうえで、ライフスタイルを知ったうえで、好みを知ったうえ
でで きていくモンだし、何よりお客サイドから挑んできてもらわないとできない、つまり、通い詰めて闘ってはじめていいモンができる。
なぜ飲食店がコミュニティ形成するか
というと、そういうコミュニケーションが重要だからなんだ。多少イヤなコトがあっても通うコトで通じ合う。
僕は1回行っただけで文句言うヒトを逆に信じない
しプライドが高くさもしいとも思っている。3回くらい行ってもダメなら悪評も仕方ない。そもそも選んだのは自分なんだから審美眼のない自分を責め
れば良い、もしくは文句言わずに2度と行かねば良い。
とにかく、「行きつけ」は持っておいた方が間違いなく良い。
つまり、小さな政府にする補完としての大きな社会にするための地域コミュニティやワークショップ的コミュニティや飲食店が重要となる。
今回の島町アウトローは実はココがスタートなんだ。
弊店の体制が変わりいろいろ憶測をよんで風評があまり良くないカンジなので説明がてら書いている。
今回のアウトローは実験的挑戦だ。
僕は数年前からバーの衰退をカンジていてバー離れしていっているヒトたちをどうバーにインセンティブしていくかを考えていた、何を伝えればいいんだろうと
考えていた。いろんなビジネスモデルを考えだしたがいかんせんおカネはない、前店舗は賃料も高かったので移転もしたかった、正直バーをやめた
方が 儲かるよなとも思ってた。
そんなある日、僕より儲けている後輩に、先輩たちがどんどんいなくなってこのままでは自分たちがどうしていったらいいのか不安です、と言われた。バーの先
輩方は、成功者はセミリタイヤしてミナミノシマ、苦労してる方やバブル期に儲けたヒトは別の仕事と、40歳半ばから上の世代の既離職率が高
い。確 かによほどで ないと生き残れない業界でもある、僕も賞味期限切れは否めない。
まぁ僕だって不安だし後輩に何ができる?教えるコトなど何もないし何を伝えれる?
昨年春、僕はもういろいろ考えるのをやめた、とりあえず「バー業界」とか「後輩へ何か」とか考えずに楽しいコトを自分からやってみよう、行動しよう、と。
なら
ば、既定路線を少し外れて先ほど述べたコミュニティ形成の志しが少しでもあるヒトを集めていろんなコトやって、最後の最後にバーカウンターの大切
さが理解されればいい、そして 必死で
やってるその裏の裏まで後輩たちに全て観てもらおう、それが生き様を観せるというコトだ、そう思いtwitterなどで逐一後輩にそのときの思いを観
てもらいながら移転にこぎ着けた。
僕は今回先輩2人を招聘した。
山下氏に以前からライブハウスをやりたいと聞いていて今回のお店の話をふるとふたつ返事で一緒にやろうというコトになった。
シェフの吉岡氏には当初厨房の設備とメニュウの監修だけをお願いするつもりだったが話の流れで調理までしてもらうコトに急遽なった。
このご時世の飲食個店でオトナ3人が食っていけるワケがないのは承知で無謀な挑戦だった。しかしそれぞれやりたいコトがありこの店でやってみたいという思
いだったのでプロジェクトはスタートした。2人の先輩は1度店を閉めておられるので再チャレンジだった、リベンジだ。僕もふたりのその意気込
みを 買った。
以前にも書いた通りいろんなコトが頓挫しなかなか厳しい船出だったが年末くらいには落ち着き利益的にはまだ厳しいが先が観えてきていた。しかし残念なコト
にいろんな状況の悪化で山下氏のライブイベントの計画はどれも難航しそれと同時に彼のお昼の仕事も多忙を極めプライベートなオトナの事情も重
なり
今年はじめから一線を退くコトとなる。吉岡氏も第2子ご懐妊というコト(先日ご生誕)で弊店のギャラでは厳しくなったので一線を退き当初予定通り
監修にまわってもらうコトとなった。勿論おふたりとも円満にだ。
僕個人の意見としては、この先めったにない自由にやれるチャンスなんだから2人とももう少し命懸けでやってくださいよ、と思っていたが終ぞ彼らの昔のモチ
ベー
ションは観られなかった、その点は不満だし残念だ、失敗した経験のあるヒトがモチベーションを取り戻すのはそれほど難しいのだなと痛感した、みなそれぞれ
のオトナの事情を抱えているから退く決定も仕方ない、何も言えないよねぇ、先輩と後輩は入れ換え不可能だからねぇ.....舞台に引っぱり上
げた だけでも褒めて欲しいよ、そんな後 輩おらんでしょ?
なのに、2人がやめた(やめたワケではないが)のは最初から見積もりが甘かったからだ、とか近隣でウワサバナシしているヒトがいるようだが、言う必要ない
から言わなかったがこうなるコトを前提とした挑戦だったんだ、みんな絶望からはじまってるからやりたいコトをやるしかなかった、これこそが今
回の この店の使命だしこんなコトのできる店他にあるか、
と彼らに問いたいし逆に僕は自負すらしている。僕は"やった"のだ、行動したのだ、 just did it.
そして、中途半端ではあるがまだ終わってもいない、外野で 噂するさもしいヒトたちにそれだけは言っておきたい。
ただひとつ、僕は今回お客様方にいくつか演出のつもりで噓をついた(共同経営とか)コトになっちゃったのもあるし、今後料理をメインにしなくなるコト、
パー ティの制限もできるコト等、その辺りお店としては裏切り行為なのでこの場で謝罪したい。
新しい人材育成してまた当初プランに戻したい気持ちはあるけどこればかりはこの時代難しい。まぁなんせやっと料理の方も固まったのでまた当分独りでやりま
すよ。後輩諸君には少々バタバタ劇を観せてしまい恥ずかしい限りだが、まぁ、もちょっと観とけや、ってカンジです。
というワケで、アウトロー自体がワークショップみたいです。なんやかんやで新しいコミュニティもできたりしてるので少しづつ先に述べた大義をなしていきま
す。
それと、過剰に心配してくれてるヒトがいるが、僕は100名のカクテルパーティとか独りでこなした経験もあるし調理も全くの未経験ではないしそれに弊店規
模のバーは独りで充分なんです、ただ、サーヴィスクオリティが低下するのをどうしようか、と考えているだけで問題はないので過度なご心配は無
用で すよ。まぁ売上げ貢献だけヨロシクです。
付随して余談だが、先日話題になった、乙武氏 入店拒否騒動にふれておく。
5月18日 、乙武洋匡 氏が、食べログ見て予約していたイタリ
ア料理店に「到着してみると、車いすだからと入店拒否された。『車いすなら、事前に言っておくのが常
識だ』『ほかのお客様の迷惑になる』こんな経験は初めてだ」とツイートしたのが騒動の発端、その後の経緯は端折るが、乙武氏が店の実名を出したコトで大騒
ぎなりその後両者は和解したが、乙武氏のような著名人が実名批判はいいのか、2Fの店に車いすで行くのはどうか、店の対応など、波紋は広がっ
た。
僕はそもそも乙武氏の考え方は以前から鼻について嫌いだし今回も障がい者は弱者という立場からの実店名批判は正直ムカついた、飲食店だって弱者だからだ。
しかしながら、僕個人の意見はおいといて社会的に観ると明らかに飲食店が悪い。欧米ならば、まず棲み分けがあるので手助けがいるトコロを利用
する
コトはそもそも少ないだろうがあったとすれば他のお客様をほったらかしてでもスタッフは手助けするだろう(チップがいっぱいもらえる)、まぁその
前にこのような立地の店舗へのライセンスは出ない可能性が一番高いが。バイトとふたりで超忙しい日だったとしても対応も良くなかった。
あとなにより僕が思うのは、なんでその場にいるお客さんにお声かけできなかったんだろう?というコト。今、手が離せないんで誰か手助けしてくれませんか?
と聞けばよい。だって、店側は2人で手一杯で火も使ってるしほっといて店を離れられないんだから、周りのお客さんも、俺が行くよ、って言うハ
ズ、 僕がお客なら言う。今回もお客さんは経緯を見ていたハズだ。
僕はこれを今の社会の問題だと思う。
イチゲンサンばかりだから気使って頼めない店、「行きつけ」でないから知らんフリのお客、それをwebでさらしモンにする被害者、帰属コミュニティ形成の
前にコミュニケーションもできていない。だから孤立死みたいな状況が生まれる。みんな無関心のクセに騒動にはなるんだよね。
僕はこういうのがホントにイヤなんだ............
では、毎回書いてますが今一度飲食個店の現状を。
かれこれ13年前僕は勤めていたキタのバーを離れこの街に店を開いた。
まだ20代の若造だった。やりたいコトもたくさんあったし 根拠のない自信もあった。
今回も前回もバーとしては概ね良い店ができたんではないかと自負しているが経営者としては様々なコトに苦しんだ。
一番は資金繰りだ。金融機関は我々のような飲食個店に運転資金の融資をしない。
飲食店は労働効率が悪い(長時間拘束低単価)上に天候等で営業日のうち1日でも売り上げが上がらない日があると他の日ではほぼ取り戻せない、蓄えがない限
り生活を圧迫する、離婚率も高い。企業なら金融機関が多少の手助けをするが飲食店にはしない、飲食店の多くは多大にかかる初期設備投資を回収
でき ず借金体質だ。改正貸金業法や金融モラトリアムの終了で今や道は細い。
休日も少なくボーナスも退職金もない、年金も少なく(6万円もないって......)働き続けるしかない、店をやめたら社会経歴が乏しいので働き口もな
い、
もちろん、金融機関は店を閉めるような人間に2度とカネは貸さない、顧客を持っている飲食廃業者より新規の脱サラの方が担保があるからそっちに貸す、再
チャレンジはないというコトだ。
僕が店を開くとき保健センターの衛生資格の講習に開業予定者300名くらい来ていたが、7,8年後の資格更新時には30名足らずだった。1割とは言わない
が2割くらいしか10年は持たないのだろうと思う。博打より酷い回収率だ。消費者からWeb上で一方的に批判さ
れ、数百円の商品を売り、千円そこそこで呑み放題とか.....人件費なんてちゃんと払えないから夢見させてこき使う、ブラックも必然。た
だ、ほんの一握りの飲食の成功者は他業種と比べても身入りは悪くないから羽振りのいいヤツがいるのも事実。多くは女の子商売かミシュラン的一流風
かもし
くは脱税する輩(彼らのせいで税務署も厳しい)かだ。街場でせこせこ営んでる店で年収1000万円のヒトとか聞いたコトないしなんだったら200
万円くらいのヒト多い、メシだけは食えるからねぇ......僕より10年くらい上の先輩方の時代は飲食業は儲かったろう、単価もあがったろ
う
し、粋なお客さんもたくさんいた、店も少なかった、でも時代は変わった、オイシイ思いしたオジサンたちは今だ当時の内部留保で悠々自適に楽しそう
だ、彼らは後進に何も残さず文化も育てず去った。
社会が一部の羽振りのいいヒトを観て飲食業を縛る傾向にあるのには憤りを覚える、んな中で、年収ウン百万円のサラリーマンや単価数十万円のフリーランスの
愚痴を、支払い額数千円で何時間も聞く身にもなれっての。........また叱られますな。我々飲食業は社会的弱者なのです。
僕らを、そして、周りのヒトに、活きた情報も含め良質の再分配をしてこそ良い酒呑みだし良いコミュニティ帰属になるんではないでしょうか?
同じようなコトを長々と書いたが、要は僕なんか吹けば飛ぶような存在だけどきっとアナタのお役に立ってますからだいじになさい、ってコトです。ははは。
先日も後輩に前途多難ですねと言われたが僕はまったくそうは思っていない。
僕は明確に進むべき道を観ている。でも、僕独りじゃ何もできない。
僕はハッピーになりたいしみんなをハッピーにしたいんだ。ただそれだけ。僕をどう誤解して
もいいけどお互いアンハッピーになるようなのはやめましょうよ。
流動的にアウトローは変化する。違うと思ったら来なくてもいい、でも僕はいつでもアナタを待っている。
そんなワケで、移転1周年前に思うコトでした。
アウトロー第5章(?)は今はじまったばかりなのである。................生かすも殺すもアナタ次第です。なんてね。
rockの日に