★2012.10.11
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さて、新店舗を開けて4ヶ月経つのでそろそろここまでの経緯をちゃんとご報告した方がいいかなと思ったので久々に書く。
計画は何年も前からあったもののバタバタと決めてしまいなかなかオープンすら皆様にお知らせできなくて不義理してしまい大変申し訳ないと猛省して
いる。こ
ういうHPやSNSなど開設しているならもっと早く説明できただろうとお叱りの声もいただくワケだが、如何せん工期は遅れるわエアコンの故障やト
イレ排水
の不備で予算はオーバーするわ設備類の故障やいろんな頼み事をしてた方々との折衝の不具合やらがあったり、まあ何をやってもウマくいかないコトが
続いた。
ましてや店が広くなって営業時間も長くなったうえにイベント等の打ち合わせの時間とかでホントにHPどころではなかったのです、すべて言い訳です
が.....
未だ忙しさは続いているのですが、忙しくても時間はつくれる、と日々いってるのでがんばってコラムも徐々に再開していこうと思う。
さて、ウマくいかなかったモンのひとつに今回掲載するインタビューがある。某誌掲載予定だったがポシャったので編プロのヒトが投げ出したモンを僕
が手直し
して今回の経緯説明の代わりにしようと思う。当初の聞き手の主旨と今回の意図とは違うコトと一部固有名詞を伏せさせていただくコトをご理解いただ
きたい。
インタビュアー(以下Q)
今回は、天満橋谷町地区でスゴいお店ができたという事で経営者のおふたりにお話を伺いにまいりました。宜しくお願いします。
山下(以下Y),山本(以下H) ヨロシクお願いします。
Q おふたりは共同経営という事でよろしいですか?
Y 少々複雑ですが大雑把にいうとそんなカンジです。
H
山下サンがCEOで、僕がCOO兼CFO兼CIOですね。僕とシェフが実務でそれらを統括するのが山下サンというカンジです。
Q very special bar outlaws'71
という店名の由来は?
Y
店名は僕が以前曾根崎界隈でやっていた小バコと、山本がこないだまでこのお店の近くでやっていた暗い店とのダブルネームです。"very
special"
はその昔ディスコのチークタイムでよくかかってたデヴラロウズの曲のタイトルです。アウトローには意味なんてないですけどね(笑)。
H 外角低めですよ(笑)打ちにくいでしょ(笑)。
Y
くっつけただけ正直店名なんてどうでもよかった。バーの店名ってそんなモンでしょ?
H
店名って考え出したらキリがないですもんね。ちょっと長いですかね?
Q 悪くないと思いますよ。さて、ここまでの経緯を伺いたいのですが?
Y どっからですか?
H ふたりとももうそこそこやってますからね(笑)。
Q では経歴から、
Y
バーテンダーとしては、20年以上前僕がミナミのバーで働いてる時からお世話になっている方、あ、この方は小指一本で車をひっくり返すなど数々の
伝説のあ
る方なんですが、その方に師事しそのマスターが開業なさったキタのバーで従事しました。経歴という流れでいえば多種多様な飲食業を経験しましたが
今の自分 があるのはここでしょう。
H
僕は中学生の頃喫茶店、高校でサンドウィッチ屋さん、18で新地の日本酒のバー.....そこで今のシェフと出会うワケなんですが、ずっと飲食業
でバイト しててた またま面接に行ったのがそのマスターのバーだったワケです。その店だけでいうと僕は山下サンより先輩なんですよ(笑)。
Y 数日やんけ(笑)。
H
あ、その前に、僕は山下サンと縁があると思うのはそのお店で働く前にふたりとも少し時期は違うんですが、大正の同じ工務店で働いていたコトもあり
ますね。 偶然。
Y 鳶でした。
H
僕は正直他に夢があったのでバーテンダーになる気はなかった、年とって夢もひと段落したらバーでも、なんて。当時そんなコトを言ってマスターに
メッチャ怒 られた記憶があります。
Y 想像できるわ。
Q それからずっと一緒に働いてこられたのですか?
H
いえ、僕はアルバイトでしたし先ほど申し上げた通り夢があったのでそのあとカナダに渡りました。結局夢は挫折し帰国しました、お金もなくて向こう
でずっと 働いてました。帰っ てきてまたその店に
お世話になりましたがすぐに東京にいってしまいました、今思えば不義理もいいトコです。東京でも夢を追いかけましたがまたしてもお金がなくてバー
でバイト
してました、この時のバーテンダーの方々にはいろんな蘊蓄的知識を教わり今でも役立っていますが、その時点でもまだ僕はバーテンダーになる気はな
かった。
Q 山下サンはその間もずっとそのマスターの元で働いておられたのですか?
Y
そうです、ツラい修行をしてました、そうこうしてるうちに放浪から戻った山本を巧みな話術と甘い言葉で言いくるめどっぷりこの世界に引きずり込み
ました。
H
今思えば、山下サンは店を抜けたくて自分の代わりにしたかったんですよ(笑)。
Y ちゃうわ(笑)。
H どちらにせよ、僕にもツラい修行が待ってました。
Q その後おふたりは独立なさってそれぞれでお店をやられた訳です ね?
Y
時期は2年位つまり山本はその後2年その店で働いてからなので時期は2年違いますが、お互い独立し12年それぞれの店を経営してたというコトにな
ります ね。
Q
お互いトップにたってやってたのに今回なぜ一緒にやろうとお思いにならたのでしょう?なぜ今このタイミングだったのでしょう?
Y
修行させてもらった店が良い意味でも悪い意味でも今のふたりのベースになっている、漠然とした絵にもかかわらずシンクロする部分があり過ぎたとい
うコトで
この流れはごく自然な流れでしょう。実は今回の前にもふたりでやる機会はあった。それは、その修行してた店が2号店を出そうか、そいうときです。
Q そのお店は?
Y その話はすぐ消えました。
H 結構ヤル気満々だったんですけどね。
Y
なので、今回このタイミングとかってのもたまたまでしょ(笑)、たまたまお互いの波がかち合ったカンジでしょうね。時代が... と
か昨今の飲食業界は...っていうようなせつない御託を並べるつもりはないです。山本はよくそんなコト言いよるんですが(笑)。
H
(笑)僕は暗い店をやってたから世の中が心底暗くなっていくのをびっくりするくらい目の当たりしてたんです、不景気もこんなに長く続くとさすがに
人が変 わって く、粋さも失われた、僕は★2008.11.8 のコラムを書いた頃からずっとこの状況を危惧してて、特に昨今の老人の孤独死
のニュースを観てホントにせつなくなっちゃったんです、 誰も周りにい なかっ
たんだなって。僕はこういう状況を改善させるのは飲食業しかないと思ってます。今のヒトは帰属するコミュニティが意外と少ない、会社か家族の他は
趣味のコ ミュ
ニティがあるくらいであとはSNSでしょうがこれは帰属にしては弱い。善きにつけ悪しきにつけ飲食店は一店舗一店舗にコミュニティがある、なの
で、"行き
つけ"を増やすだけで帰属を増やせる、孤独死やひきこもりや精神的病いなんかも減らせると思うんです。だから今このタイミングで山下サンと僕とで
やれば もっと何 か発信できる、我々はもっとハッピーなコミュニティを提案できると思ってます。
Y それこそ街を創るってコトかも。
H
経緯を説明すると、そんな風にカンジてた僕はなんかしなくちゃと数年前から思ってて、山下サンの店に行って"なんかオモロいコトやりましょう
よ"って言っ て
たんです。そうこうしているうちに山下サンが立ち退きで店やめるコトになるって聞いて急いで物件を探しはじめました。山下サンは前からライブハウ
スやりた
いって言ってはったので、山下サンの希望に添うようなそいう物件を僕がやりたかった谷四や肥後橋界隈であたってたんですけど適当な広さで低予算で
できそう な店舗は最後まで出てこなかっ た。山下サン
も人気があるヒトなのでいろんなトコからオファーもあったようですし今回は縁がなかったかな......と思ったトコロへ今回の物件がでてきた、
正確に は早く から 知ってたんで すけど場所と予算が想定と違ったのと、みんなから反対されたので二の足を踏んでました。
Q 反対とは?
H
何度もお店が替わっているからです。あそこはダメな物件だとみんなに反対されました。
Q でも、決めた?
H
一度山下サンと見にきた時にふたりとも感触が悪くなかったのと予算内におさまりそうになったので踏み切りました。なんか根拠なき自信があったんで
すよね。 結論としてエントランスが入りにくいからだというコトで階段を作り替えました。
Q ええっ、あの階段つくったんですか?
H
そうですよ、エラいコトしました。まぁなんせ当初あったエアコンは使えなかったり設計のヒトともめたり工期が遅れたりで予算はオーバーしてしまい
結構タイ ヘンでした。
Y
ホント何をやってもウマくいかなかった。いろんなヒトにいろんなコトお願いするんですがこっちは予算がないからあまりムリ言えないし....なん
せこまご まとしたコトがウマく運ばなかったね。挙げ句の果てにオープンしてすぐにトイレの排水のトラブル、あれはヘコみました。
H
カウンターを前の店から運んできたんですが.......
Q え!? あの大きな一枚板のカウンターをですか?
H そうなんです。5m50cmの木を、です。
Y カウンターがないとバーになりませんからね。
H
幼なじみに頼んでクレーンのついたトラックで運んでもらったんですが、彼がもう板も渇ききってるので6人くらいでいけるよっていうから10人準備
してたん
です、因みに前の店舗に入れる時には22人がかりでした、まあ確かにだいぶと軽くはなってましたがオッサン10人では持ち上げるのはいいけどずら
したりす る
のは少々ムリがあった、なんとかトラックまでのせてこの店までたどり着いた、そしたら、これは僕のミスですが、階段の前に大きな木があってトラッ
クが入り 口に
近づけなくてクレーンでは2階まで上げれないコトが判明した。我々はいくつかの決断をその場で下すコトとなった。とりあえず板を下におろし階段を
一段一段
上げていったが途中であまりの重さに下の人間が支えきれなくなった、そこでひとりのオトコが「俺が下を支えるからみんなで引っぱり上げてくれ」と
叫んだ、
彼は昔旧アウトローで働いていたコの友人の友人の友人であの日初対面のコだった、彼の言う通りにして我々はなんとか2階まで板を上げた、結局彼ひ
とりで階 段の下
で板の重量を抱えたコトになる、スゴい怪力。うえまで上がったはいいけど、今度は土台の上まで上げるスペースが足りなかった10人では引っ張りあ
げる方と
持ち上げる方のバランスが悪かった、僕の幼なじみが「神輿を担ぐ勢いでいけばなんとかなる」と言った。というワケで、「せ〜のっ!!」って最後は
みんな の、ニンゲンの
底力だけで上げました。あの瞬間、この店はなんとかウマくいくかな、って思いました。そんな偶然というか奇跡というかがあるのは何かある、と。
Y
まぁ、まだ何もイイコトないけどな(笑)。ホンマに大変でした。
Q スゴいチームワークだったんですね。
H
ただただあの怪力クンのおかげです。ただ彼曰く、無理だ無理だとネガティブなコトばかり言うヤツがいてムカついた、って言ってたらしいけど
(笑)、まぁ並 の人間だ け じゃ無理だったでしょうね、"ポジ出し"を実感した瞬間でした。
Q いいカンジで出来上がってきました。
H
いやいや、そうでもないんですよこれが。いかんせんいろんな方々に低予算の中で無理言ってお願いしてるからなかなか言いたいコト言えないしいっこ
うに前に 進まなかっ
た。特に今回痛感したのは建築とかも含めたクリエイターは意外と現場を知らないし知ろうとしないというコトでした。酷いクリエイターはコンサル
ティング的 提案ばかり(笑)じゃアンタやってみろってカンジ、活きた情報が意外と少なくてミーツ的
流行を提案されたり(苦笑)、確かにそれらが正論だったりするんですが、今の飲食個店の現状は観えておられない。できるクリエイターも我々の持っ
てない広
い視野でのアプローチはしてくれますが、結局クリエイティブとはこうだ、ディテイルは神だ、みたいなエゴが少なからずあって僕らが実際接して
いるお客サンの気持ちは可換性がないから捉えきれない。なので、大衆迎合的か奇を衒う的かどちらかでした。可換生こそ飲食業やエンターテインメン
トなんで すけどね。まぁお カネや時
間をかけずにモノを創っていくってこんなタイヘンなコトなんだって思い知りましたね。ま、正味おカネないから仕方ないんですが....
Q そうして、やっと動き出した訳ですね。走り出してどうですか?
Y
まだまだ伝わりません(笑)、伝え方もまだまだです。酒も食もイベントにしてもまだまだ流動的ですけどね。でもこの店はずっと固まらないんじゃな
いかな、 その方がオモシロいでしょう。 こうあるべき、みたいなモンが
通じる時代でないコトは承知しています。ただ、基本的なスタンスは変えません。自分自身がお客として呑みに行きたい食べに行きたい店はどんな店
かっていつ も考えてます。
H
僕は近所の前店舗からの今なので前店舗の踏襲と誤解されがちですがまったく違うコトやってるから理解されないヒトは離れていくでしょうね。中には
よそで酷 いコトおっしゃってる方もいるようです。
Q 酷いとは?
H
まぁ言い訳みたくなりたくないし誤解ですのでそれはそれで......
Y
僕らはやって結果だしてくしかない。キレイゴトはいくらでも言えます、でも僕らも、みんなも、ハッピーじゃなきゃ、WIN-WINできゃ意味がな
い。僕ら は
金儲けしますよって言うと決まって誤解される。ハコ代なしでハコ貸しますよっていうと決まって誤解される。オモロいコトしようって言うと誤解され
る。で も、よく
考えていただきたいんですが、店のために、ってやられても困るし自分たちだけのためにとか、お客さんのために、もダメなんです。結局続かないやり
方だと意 味 がないんです。 ちゃんとみんながハッピーになるようにやっていかなくちゃ、オモシロくないでしょ?
Q 確かにそうですね。
Y
たかが"遊び"ですが、あんまりイージーに考えたら後でキツくなっちゃう。
H
思考停止してはダメですよね。されど"遊び"ですからね。
Y ザッツエンターテインメントです。
Q なるほど、さて、おふたりはこれからドコへ向かっていくので しょう?
Y
お酒をおいしいと感じるシチュエーションはふたつしかないと言われています。ひとつは、ものすごく嬉しい事があった時、もうひとつは、ものす
ごく悲しい事があった時です。ふり幅は大きくとも、バーは、バーテンダーは、間口をひろげていつでもみんなを待ってます。「おいしいお酒を出して
もらう」 のではなくアナタがどう「 おいしく楽しむ」かです。
僕らは、あの店に行けば何かある、っていうような店を創っていきます。みなさんもやりたいコトいろいろ持ち込んできて欲しいんです、
そう思っ てます、街の公民館みたいになってもいいかなって。 常にこの店が何か発信してる、アナタのライフスタイルの中にバーライフを、と。
さっき山本が孤独死の話してましたが、孤食化がすすむなかで少しでも人と人とが繋がる場所にこの店がなれればと、そのツールとして酒と食とエン
ターテイン メ ントがあればいいと思ってる。正しいかどうかは別にして、酒や食事と音楽やエンターテインメントはセットだと思ってます。
H
僕もバーの原形はレストランのウェイティングバーだと考えているので同感です、安っぽいけど僕のイメージはブルーノートのちっちゃい版で必要なの
は、ハッ ピーな酒、ウマいメシ、 良質なエンターテンメントだと思ってます。
Y
好き嫌いもあるし気持ちいい心地いいというような感覚的なとこもあるでしょう。そういうのは僕らはすべて呑み込んでいくしかない、でもやるコトは
変わらな いです。結 構
僕たち3人不器用なもんでなかなかウマくいかないコトも多いですが、ひとつひとつカタチにしていきますんで、みなさん、一緒に同じ時間を創ってい
きましょ う。ヨロシクです。
H ヨロシクお願いします。
Q 今日はお忙しい中ありがとうございました。
Y,H ありがとうございました。
記事の通りホントにいろんなコトがウマくいかずタイヘンだった。やっとこのコラムまでたどりついた感がある。おかげさまでやっと落ち着いてきたカ
ンジだ。 これからやっとやりたいコトをはじめられる。早くしないと、と焦るばかりである。
開店間もなくの取材もウマくいかず宙に浮いたままの素材を今回挨拶がわりに使わせていただくコトにした。編プロの方には感謝している。大方の内容
はそのま まだ が、大半は僕がわかりやすく脚色しました(嘘はないですよ)。
これで今回この難プロジェクトを実行した意義が伝われば、と思う。
オープンして少し経つが、旧店舗に依存されてた方とかお店のためにみたいなコトを言ってくれてた方々のご来店スパンが長くなったり来られなくなっ
たりして いるの
を観ているとやはり僕如きの思いは何も伝わってなかったのかと飲食業の限界みたいなモンをカンジるがそれも今回は織り込み済みなので失望はしてい
ない。そ もそも絶望からはじめている。た だ誤解されがち
だが今回の出店でアウトローは強くなったワケではない。我々はあくまで社会的には弱者で皆さんの御厚意なしに店は成り立たない。媚びないやり方が
反感を買
い自分で自分の首を絞めているのではというご指摘もあるが弱者な僕たちにも尊厳がある、ソコを譲るならつぶれた方がマシだ。残念ながら今の再チャ
レンジで きない日本のシステム(主に金融)では飲食業人は店を失うともう2度と立ち上がれない。もう2度とこの思いを伝えられない。
それだけのリスクを背負って苦しんででもヒトをハッピーにしたいし自分たちもハッピーになりたい。そんな僕らを、現在社会的優位(自覚はないと思
うが)に 立っている人々にこんな僕らが勝負している姿を観ていて
欲しい、そして、悩み苦しんでいないで、もっと思考しもっと行動して欲しい。..........なぜなら、諸行無常、世の中のほとんどのコトは
たいした コトではないの だから。
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空が堕ちてくるその前に
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も一度だけ高くjumpするよ
ジャ〜ンプっ!!
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